
「相続したけれど、自分は別の家に住んでいる」。郡山市の空き家で多いのは、まさにこのケースです。
結論からお伝えします。郡山市は地価が上向きで、状態や立地に恵まれた家は仲介で動く余地があります。
そのうえで、傷みや浸水の不安、権利の問題がある家は、買取も並べて比べるのが現実的です。
- 郡山市の空き家率は14.4%(平成30年調査)で、全国13.6%・福島県14.3%よりやや高い。賃貸用が多く、競合もある
- 住宅地の基準地価は令和7年に13年連続で上昇、福島市より水準・上昇率とも高い(福島県発表)
- 空き家バンクはNPO法人が運営。令和8年度の補助金は7月31日〜11月30日の受付
- 令和元年東日本台風の浸水歴がある地域の物件は、確認と説明が大切
郡山市の空き家は「相続したが別に家がある」が目立つ
郡山市空家等対策計画 第2期(2021年3月)では、空き家は24,010戸、空き家率は14.4%でした(平成30年調査)。数字を表にまとめます。
| 項目 | 数字 | 備考 |
|---|---|---|
| 空き家の総数 | 24,010戸 | 平成30年調査 |
| 空き家率 | 14.4% | 全国13.6%・福島県14.3%を上回る |
| 賃貸用の空き家 | 15,590戸 | 競合になりやすい |
| 賃貸用以外(その他) | 7,430戸 | 売却・活用の対象になりやすい |
市が2022年9月に実施した所有者アンケートは、1,388件を対象に664件が回答(回収率47.8%)でした。
所有者の90%が50歳以上で、放置の理由は「相続したが別に家がある」「前居住者が死亡」が上位です。
活用の障壁には、次の3つが挙がっています。
- 草木の管理の負担
- 解体費が高い
- 買い手・借り手が見つからない
人口は2005年の338,834人をピークに減少し、2040年には265,374人と推計されています。
| 年 | 人口 | 区分 |
|---|---|---|
| 2005年 | 338,834人 | ピーク |
| 2020年 | 330,358人 | 実績 |
| 2040年 | 265,374人 | 推計 |
なお、計画の人口値と統計資料では集計基準が異なり、数字に差があります。
賃貸用の空き家が多い点から、売却では賃貸物件との競合も意識する必要があると考えられます(推測を含みます)。
なお、アンケートで「買い手/借り手が見つからない」という悩みが挙がっていることは、地価が上がっていても、個々の空き家がすぐ動くとは限らないことを示していると考えられます(推測を含みます)。
郡山市の相場:地価は福島市より強いが、築古の数字は別物
郡山市の住宅地は、公示地価・基準地価とも上昇が続いています。数字は次の表のとおりで、坪単価は1㎡あたりの価格に3.3058を掛けて換算しました。
| 指標 | 数字 | 出典・注意 |
|---|---|---|
| 住宅地の公示地価(令和7年1月1日) | 平均65,200円/㎡(約21.6万円/坪)・+3.8% | 12年連続上昇。福島県「令和7年地価公示結果概要」(公的データ) |
| 住宅地の基準地価(令和7年7月1日) | 平均59,200円/㎡(前年56,700円)・+3.0% | 13年連続上昇。福島県「令和7年福島県地価調査」(公的データ) |
| 中古戸建の平均売却価格(直近1年・313件) | 平均2,700万円。築6〜10年は3,000万円 | GMO不動産査定(二次サイトの集計・目安) |
注意点は、民間サイトの築年中央値が9年と、新築に近い物件が多く含まれることです。古い空き家の売却感覚とは離れていると考えられます。
築古別の価格は今回取得できなかったため、手元の家がいくらになるかは、複数社に査定を依頼して確かめてください。
福島市と比べると、郡山市の住宅地は公示地価・基準地価とも水準と上昇率が高く、市場の動きは活発な側にあると読めます。
ただ、これは住宅地全体の平均で、郊外や古い建物は別に考える必要があります。
「平均が上がっているから大丈夫」と決めつけず、自分の家の条件で見てください。
県は、中心市街地の利便性の良い住宅地で高めの価格設定がみられる旨を示しています。
地価の上昇は追い風ですが、古い空き家の価格を保証するものではありません。
令和5年調査の市別の空き家数は、今回確認できていません。
令和元年東日本台風の浸水が、物件選びの目線を変えている
郡山市の事情として外せないのが水害で、令和元年東日本台風の影響は今も語られます。国土交通省の資料から被害の規模を表にまとめます。
| 項目 | 数字 | 備考 |
|---|---|---|
| 浸水面積 | 1,100.26ha | 国土交通省の資料 |
| 床上浸水 | 4,385戸 | 床下浸水1,174戸・計5,559戸 |
| 堤防の決壊 | 谷田川・藤田川 | 決壊が確認されている |
| 阿武隈川緊急治水対策 | 約1,840億円 | 現在進められている(国交省資料) |
購入希望者は洪水ハザードマップを見るのが一般的なので、浸水歴や想定区域にある物件は、売りにくくなる可能性があります(推測を含みます)。
市の洪水ハザードマップ改訂版で自宅の位置を確認し、過去に浸水した事実があれば、隠さず伝えるのが信頼につながります。
原発事故後の除染は、環境省の資料で面的除染が2018年1月に完了、除去土壌の搬出が2022年3月に完了しています。
市平均の空間線量は0.64(2011年8月)から0.09μSv/h(2022年7月)へ下がったと記載されています。
雪や交通事情が売却に与える影響は、今回は確認できていません。
こおりやま空家バンクはNPOが運営している
郡山市の空き家バンクは、行政ではなくNPO法人こおりやま空家バンク(2017年1月設立、同年3月22日に市と協定)が運営しています。
参加事業者は郡山市建築行政協力会・全日本不動産協会・福島県宅建協会の登録事業者です。
運営サイトはこおりやま空家バンク、市の案内は郡山市のページにあります。
登録の条件と流れを表にまとめます。
| 項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 登録できる住宅 | 郡山市内の住宅(戸建・併用・長屋等) | 今後も使う予定がないもの |
| 新築未入居の場合 | 完成後1年以上 | 条件に注意 |
| 申込の流れ | まずNPOに相談し、申込書を提出 | 窓口は11〜16時、郡山市役所3階 |
| 仲介 | 参加事業者を通じて行う | 費用の詳細は運営サイトでは未確認。相談時に確認 |
郡山市の令和8年度補助金は7月31日〜11月30日の受付
令和8年度の主な制度は、申請期間がいずれもR8.7.31〜R8.11.30、問い合わせは住宅政策課です。受付が近づいているため、最新は必ず郡山市のページで確認してください。
| 制度 | 補助内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 危険空家除却費補助金 | 解体費の4/5、上限80万円 | 限度単価は木造33,000円/㎡・鉄骨47,000円/㎡ 交付決定後に契約着手 他補助との併用不可、事前調査必須 R9年1月末までに完了報告 |
| 空家バンク活用支援事業費補助金 | 残置物撤去は1/2・上限10万円 相続手続費用は1/2・上限5万円 | NPOこおりやま空家バンク経由で登録済み・予定の、同一敷地で実際に居住していない空家 所有者または相続人、税滞納なし |
| 空家地域活用改修費補助金 | 改修費の2/3、上限40万円 | 交流施設などへの地域活用向けで売却向きではない 10年以上使用 昭和56年5月31日以前の建築は耐震要件あり |
郡山市の空き家補助金一覧から、最新の内容を確認できます。
残置物の撤去や相続手続の補助がバンク経由で使えるのは、郡山市の特徴です。
なお、県の12市町村改修補助は郡山市は対象外です。
郡山市では仲介と買取をどう選ぶ?
郡山市では賃貸用の空き家が多く、同じエリアで賃貸にも売却にも物件が出ている状況が考えられます。
売り出して反応が鈍いときは、次の3段階で考えるのが現実的です。
①価格や見せ方の見直し:まず売り出し条件を整えます。
②バンクへの登録:空き家バンクで買い手や借り手に見つけてもらいます。
③買取との比較:それでも動かなければ、買取の条件を並べて見ます。
買取は、仲介で想定できる価格より低くなりやすい方法です。そのかわり、買主探しや内見対応、残置物・修繕の負担を軽くできる場合があります。
- 中心市街地に近い
- 浸水の心配が少ない
- 建物の状態が悪くない
地価が上向きの郡山市では、仲介で動く余地が比較的あると考えられます。
- 浸水歴がある
- 傷みが大きい、残置物が多い
- 再建築や共有名義の問題がある
- 賃貸が多いエリアで買い手がつかない
このような「訳あり」には、買取が出口になりえます。
訳あり物件の買取に強いラクウルの評判や使い方は、次の記事で確認できます。


事故物件(人の死が関わった物件など)の場合は、専門の窓口もあります。


どのくらいの条件になるのか、まず無料の査定で確認できます。
決めきれないまま時間が過ぎるのが、いちばんもったいない
遠方に住んでいたり、仕事や子育てで手が回らなかったり、親の家を手放す罪悪感があったり。迷って当然です。
「あとで後悔しないか」という不安も、まじめに向き合っているからこそ出てくるものです。
アンケートでも、草木の管理や解体費、買い手探しがネックになっていました。
売るかどうか決める前に、仲介と買取の数字を並べて見るだけでも、判断はずっと楽になります。
補助金は受付期間があり、浸水などの事情は早めに整理しておくほど選択肢が残ります。
無理に急ぐ必要はありませんが、情報だけは先に手元に置いておきましょう。
査定は無料で、売ると決める必要もありません。