
親御さんが亡くなったあと、いわき市の実家に誰も住んでいない。固定資産税や庭の草木、海沿いなら津波や台風のニュースのたびに気になる。
それでも「売るのか、貸すのか、そのままにするのか」を決めきれないのは、ごく自然なことです。
先に結論です。普通に住める状態で買い手がつきそうな家は、地元の不動産会社など仲介で売り出すのが基本です。
一方、築年が古い、相続登記が済んでいない、早く手放したい、といった家は、訳あり物件を扱う買取業者への査定も並べて比べると判断しやすくなります。
ただし買取は仲介より価格が低くなりやすいことは、先に正直にお伝えしておきます。
- いわき市の空き家率は15.30%(令和5年調査、二次サイト転載)で、県平均15.2%とほぼ同じ水準
- 沿岸部の津波と夏井川流域の水害は、買い手が気にしやすい点と考えられる
- 築古の相場は築50年以上で590万円前後が目安(二次情報)
- 解体費用の補助は市のページで確認できていない。売れにくい家は、仲介と買取を比べてから決める
いわき市の空き家事情:空き家率は県平均並み、ただし所有者側に課題あり
令和5年(2023年)住宅・土地統計調査の数字を転載した二次サイト(生活ガイド.com)によると、いわき市の空き家率は15.30%、賃貸用に限ると25.14%です。
福島県全体は令和5年で15.2%(福島県公表)なので、県平均とほぼ同じ水準といえます。なお二次サイトの数字は目安で、空き家の戸数は本記事では確認できていません。
もう少し中身が分かる資料が、市の第二次空家等対策計画(令和4年3月策定)です。平成30年の市の調査では3,713軒の空き家を把握し、所有者は60代が35%で最多でした。
55%が未相続のまま、7割超が昭和56年以前の建物(旧耐震)、半数以上が2か月以上管理されていない、と整理されています。
再利用可能(A〜C判定)は83.4%、流通が難しい(D・E判定)は16.6%でした。
人口は、令和2年国勢調査で337,199人。民間不動産会社のブログ(住基ベース、二次情報)では、2025年3月1日時点で316,058人、65歳以上が約32.54%とされています。
家を買う世代が減る流れは続いていると考えられ、需要が大きく伸びる状況とは言いにくいところです。
津波と夏井川流域の水害:買い手が気にしやすいポイント
いわき市は沿岸部が長く、福島県の津波浸水想定(2019年3月20日公表)に基づく津波ハザードマップが7地区別に公開されています。
市の津波ハザードマップで、実家の場所がどう示されているかは売り出す前に見ておくと安心です。
水害については、令和元年東日本台風(2019年10月12〜13日)で住宅被害が計4,972棟(全壊112、大規模半壊822、半壊2,984など)、夏井川水系の浸水面積は約1,210haと、市の資料に記録されています。
そのため夏井川・好間川の流域は、購入を検討する人が気にしやすいと考えられます(これは推測です)。
だからといって、売れないと決まるわけではありません。大事なのは、問われてから慌てるのではなく、ハザードマップ上の位置や過去の被害の有無を先に把握しておくことです。
なお、雪については国土交通省の豪雪地帯の指定地域一覧にいわき市の記載が見当たらないため、売れにくさの主因にはなりにくいと考えられます(最終確認は国土交通省の一覧で)。
相場の目安:築50年以上は590万円前後、ただし「この価格で売れる」ではない
相場は出典で見え方が変わります。次の表は、数字ごとに年次と出典の種類を分けて並べたものです。
| 指標 | 数字 | 年次・出典の種類 |
|---|---|---|
| 中古戸建の相場 | 約2,000万円(中央値は築12年・延床110㎡) | 2025年時点・直近1年の実取引。二次サイト集計(GMO不動産査定)で築浅に偏り、実家の目安にはなりにくい |
| 築50年以上の中古戸建 | 約590万円 | 同上(二次)。目安であり、立地や状態で大きく変わる |
| 住宅地の基準地価 | 37,800円/㎡(約12.5万円/坪)、前年比△0.3% | 令和7年7月1日・福島県地価調査(一次)。坪換算は当方計算 |
| 住宅地の公示地価平均 | 43,920円/㎡(約14.5万円/坪) | 令和8年・民間集計(tochidai.info)。基準地価とは調査地点が異なる |
実家が築古なら、築50年超の590万円前後が一つの目安にはなります。ただし土地の広さ、道路との接し方、傷み具合でかなり上下しますし、相場はあくまで目安で、その金額で売れることを示すものではありません。
国土交通省の不動産情報ライブラリにある取引価格は、本記事では直接確認できていません。地価は横ばいから微減で、急に値上がりする局面とは言いにくい状況です。
売る前につまずきやすい「未相続」と「旧耐震」
市の調査で目立つのが、未相続55%と旧耐震7割超という数字です。名義が亡くなった親御さんのままだと、売却の手続きが進めにくくなります。
相続登記を先に済ませることが、実質的な第一歩になる家は少なくないはずです。
市には空き家バンク登録を目的とした相続登記などの経費を支援する制度があり、令和8年度は経費の1/2、上限5万円です(個人所有の空き家が対象)。
一方、旧耐震の建物は買い手が不安に感じやすいと考えられ、更地にして売るか、現状のまま売るかで迷う場面も出てきます。
気になるのは解体費です。市のページでは、老朽空き家の解体補助や家財処分の補助にあたる制度を確認できませんでした。
ないと言い切れる根拠はないので、「市に要確認」としておきます。ブロック塀の除却支援(令和8年5月11日〜11月30日、上限12.5万円)などは民間のまとめ(二次)に載っていますが、空き家の解体補助そのものではありません。
空き家バンクいわきと市の補助金(令和8年度)
「空き家バンクいわき」は、NPO法人いわき市住まい情報センターが運営しています。
支援制度のページがありますが、所有者が登録する際の条件は本記事では確認できていません。別に「空き地バンク」もあり、成約奨励金や仲介手数料の支援金が用意されています。
| 制度(令和8年度) | 内容 | 受付の状況 |
|---|---|---|
| 空き家バンク活用支援(登記手続等) | 経費の1/2・上限5万円。バンク登録目的の相続登記等 | 令和8年5月11日〜令和9年1月29日 |
| 空き家バンク活用支援(改修) | 経費の1/2・上限50万円。自ら居住する購入者・賃借者向け | 同上 |
| 空き地バンク登録物件活用支援金 | 最大50万円(基本30万+若年10万+市外移住10万)。3年以上の定住等が条件 | 年11件程度・随時・先着 |
| 空き家改修支援事業(公益的施設への改修) | 経費の2/3・上限500万円 | 8月31日〜9月25日で受付は終了 |
売主が直接使えそうなのは登記の支援くらいで、改修系は買い手向けです。
ただ、買い手側に使える制度があること自体は、売り出すときの説明材料になる可能性があります。補助金は年度ごとに変わり、先着で終わることもあるため、空き家バンク活用支援事業・空き地バンク活用支援金の最新情報は必ず市のページで確認してください。
相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除(税制)も、条件に当てはまる場合があります。要件は市の案内ページや税務署・税理士で確認を。
売れにくい実家の査定だけ先に取っておきたい方は、こちらから無料で試せます。
仲介で売るか、買取で手放すか:いわき市の実家の切り分け方
仲介が向く家は、建物がまだ使え、道路や土地の条件に大きな問題がなく、半年から1年ほど待てる場合です。地元の不動産会社に相談するか、一括査定で複数社の意見を聞くと、相場に近い価格を狙いやすくなります。
買取が向く家は、築古で傷みが大きい、相続や境界の整理が難しい、遠方で管理できない、早く現金化したい、といった場合です。
市の調査でも流通困難とされた家が16.6%ありました。買取は仲介より安くなりやすい反面、買い手を探す手間や期間を省けます。
訳あり物件の買取に強いラクウルの評判や使い方は、次の記事で確認できます。


なお、室内で人が亡くなった事故物件の場合は、一般の仲介では難しくなることがあります。
事故物件(人の死が関わった物件など)の場合は、専門の窓口もあります。


正直なところ、実家の売却は面倒で、何から手をつければいいか分からず、「あとで後悔したくない」という気持ちが先に立つものです。
ただ、空き家のまま2か月以上管理されない家が半数を超えるという調査結果もあり、放置が長引くほど選択肢が狭まることもあります。
まずは無料で査定を取り、仲介の見込みと買取の金額を並べてみてください。
査定を取ることと売ると決めることは別なので、数字を見てから考えて大丈夫です。
訳あり物件や、とにかく早く手放したい場合の次の一歩として、無料査定を用意しています。
