
相続した実家や、住む人のいなくなった家を前にすると、「手間も費用もかかりそうで、つい後回しにしてしまう」という方は少なくありません。福島市で空き家を手放したいなら、結論は次のとおりです。
買い手がつきそうな物件は、地元の不動産会社や一括査定での仲介を先に検討します。
築年数が古い・傷みが大きい・早く手放したい物件は、買取も比べるのが近道です。この切り分けが、後悔を減らします。
- 福島市の空き家率は12.1%(平成30年住宅・土地統計調査)で、全国平均13.6%より低め。一方で山間部には空き家率の高い地区もある
- 住宅地の公示地価は令和7年に12年連続で上昇(福島県発表)。ただし古い空き家の価格は築年や状態で大きく変わる
- 売却を考えるなら、市の空き家バンクの登録で清掃費の補助が使える可能性がある(令和8年度は先着・約6件の枠)
- 買取は仲介より安くなりやすい。売れにくい物件の「出口」として比べる位置づけで使う
福島市の空き家事情:空き家率は低めでも、地区で差が大きい
第2期福島市空家等対策計画(令和4年3月)によると、福島市の空き家は17,070戸、空き家率は12.1%でした(平成30年調査)。
全国の13.6%より低い水準ですが、平成25年からは1,230戸増えています。内訳は次の表のとおりです。
| 種別 | 割合 | 内容 |
|---|---|---|
| 賃貸用 | 約6割 | 賃貸に出されている住宅 |
| その他 | 約3割 | 相続後の放置などを含む |
| 売却用 | 約1割 | 売りに出されている住宅 |
同計画では、2030年には空き家が約22,909戸、率にして15.1%になると市が予測しています。
あくまで市の予測値ですが、「そのうち売れる」と待つほど選択肢が狭まる可能性は意識しておきたいところです。
市の空き家調査(2021年)では空き家3,196棟が確認され、地区別では茂庭の空き家率が16.46%と最も高い結果でした。
人口は2020年に282,693人、高齢化率は30.6%で、蓬萊・飯坂・吾妻地区で高齢化が進んでいます。
山間部や高齢化の進んだ地区の家は、買い手を探すのに時間がかかることもあると考えられます。
福島市の売却相場の見方:公示地価と民間サイトの数字を分けて考える
相場は出典ごとに意味が違います。「この金額で売れる」と読まず、あくまで目安として次の表で整理してください。
| 指標 | 数字 | 出典・注意 |
|---|---|---|
| 住宅地の公示地価(令和7年1月) | 平均50,700円/㎡(約16.8万円/坪) | 公的データ・前年比+1.3% |
| 住宅地の基準地価(令和7年7月) | 平均44,600円/㎡(前年44,100円) | 公的データ・+0.2% |
| 中古戸建の平均売却価格(直近1年・249件) | 平均2,400万円 | 二次サイトの集計・目安 |
| 築41〜50年の中古戸建(過去3年) | 約1,000万円 | 二次サイトの集計・目安 |
| 築50年超の中古戸建(過去3年) | 約800万円 | 二次サイトの集計・目安 |
公示地価と基準地価は福島県の「令和7年地価公示結果概要」「令和7年福島県地価調査」、中古戸建の価格はGMO不動産査定の集計です。
公示地価は12年連続で上昇しており、坪単価は㎡単価×3.3058で換算した値です。
ここで注意したいのは、中古戸建の「平均2,400万円」は築年中央値が20年と新しめの物件に引っ張られている点です。
親世代から引き継いだ古い空き家の感覚に近いのは、築50年超の約800万円帯のほうだと考えられます(推測を含みます)。
県の資料には、市街地の利便性の高い住宅地は強気の価格設定がみられるという趣旨の記述があります。
地価が上向きでも、建物の価値や立地・状態によって結果は変わるため、実際の金額は複数社の査定で確かめるのが確実です。なお、令和5年調査の市別の空き家数は今回確認できていません。
福島市空き家バンクの仕組み:運営は市、取引は登録事業者が媒介
福島市には、都市政策部都市計画課の空家・空地対策室が運営する「福島市空き家バンク」があります。
市内の空き家を売却または賃貸したい所有者(予定を含む)が、窓口・郵送・オンラインで申し込めます。詳しくは福島市空き家バンクのサイトで確認できます。
運営は市ですが、市は契約には関与しません。実際の取引は登録された不動産事業者が媒介し、宅建業法の上限内で仲介手数料がかかります。
市ページの記載(2026年8月時点)では、売買の掲載324件に対して成約が182件でした。
成約件数は掲載の累計に対する数字のため、「掲載すれば必ず売れる」という意味ではありません。
空き家バンクは、移住者や地元の購入希望者に見てもらえる入口が一つ増える手段です。
ただし、傷みの大きい家や権利関係が複雑な家は、バンクに載せても動きにくいことがあります。その場合は、次に紹介する買取も選択肢に入ります。
福島市の補助金は「バンク登録」と「解体」で使い方が変わる
令和8年度の主な制度を整理します。内容や受付状況は途中で変わるため、最新は必ず市のページで確認してください。
| 制度 | 内容(令和8年度) | 対象・金額の目安 |
|---|---|---|
| 空き家清掃支援事業補助金 | 家財処分・ハウスクリーニング費用の1/2 | 上限10万円 約6件・先着(R8.5.1〜R9.1.29) |
| 空家等除却支援事業補助金(解体) | 特定空家等は80%・上限150万円 管理不全空家等は50%・上限20万円 建替えを伴う場合は50%・上限90万円 | 取得時点の表示では特定空家等の申請は受付終了 |
| 空き家リフォーム支援事業補助金 | 購入者側の補助。上限150万円(1/2) | 県外からの移住者・新婚・子育て世帯などが対象。売主が直接受け取る制度ではない |
- 清掃補助は、空き家バンク登録物件の所有者(法人除く)で市税滞納なしが条件。市内事業者への依頼が必要
- 解体補助は、1年以上使われていない空き家が対象。交付決定前の契約は不可で、事前相談が必要
- 県の「福島県12市町村空き家改修等補助金」は、福島市・郡山市は対象外
制度の詳細は清掃支援事業補助金(市の案内ページ)、除却支援事業補助金(市の案内ページ)から確認できます。
売却側の特徴は、空き家バンクに載せると清掃補助が使える点です。一方で解体補助は特定空家等に該当しないと金額が小さく、先着の枠も限られます。
他県の記事の情報をそのまま当てはめないよう注意してください。
買い手が気にしやすい点:除染の完了状況と洪水ハザードマップ
福島の物件では、原発事故後の状況を気にされる購入者もいます。環境省の資料では、福島市内の除染は次のとおり進んでいます。
| 項目 | 時期 | 内容 |
|---|---|---|
| 面的除染 | 2018年3月までに完了 | 福島市内 |
| 除去土壌の搬出 | 2022年4月に完了 | 中間貯蔵施設への搬出 |
| 重点調査地域の指定 | 2023年3月31日に解除 | 指定が解除された |
市は風評被害の払拭にも取り組んでいると記載しています。
浸水リスクも事前に把握しておきたい点です。市は阿武隈川・荒川(想定降雨は2日間で323mm、2018年12月作成・2020年10月一部改訂)、松川、大森川など12河川分の洪水ハザードマップを公開しています。
購入者はハザード確認をするのが一般的なので、売主側も福島市の洪水ハザードマップで物件の位置を確認しておくと、説明がスムーズです。
人口減少と高齢化は、長い目で見ると住宅の需要を下げる要因になると考えられます(推測を含みます)。
冬の雪や交通事情が売却に与える影響は、今回の調査では確認できていないため、地元の不動産会社に聞くのがよいでしょう。
仲介と買取、福島市ではどう使い分ける?
正直にお伝えすると、買取は仲介より価格が低くなりやすい方法です。そのかわり、買主を探す手間や期間、残置物・傷みの扱いを事業者側が引き受けてくれる場合があります。
切り分けの目安は次の表のとおりです。
| 項目 | 仲介が向く物件 | 買取が向く物件 |
|---|---|---|
| 物件の状態 | 市街地や利便性の高い住宅地。状態が極端に悪くない | 築年が古く傷みが大きい。残置物が多い |
| 事情 | 時間をかけて売れる | 再建築や権利関係に不安。売り出しても動かなかった |
| 使う窓口 | 地元の不動産会社・一括査定・空き家バンク | 「訳あり」物件に強い買取窓口。時間をかけず手放したい場合も比べる価値あり |
訳あり物件の買取に強いラクウルの評判や使い方は、次の記事で確認できます。


事故物件(人の死が関わった物件など)の場合は、専門の窓口もあります。


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「面倒だし、後悔したくない」という気持ちへ
実家の整理は、思い出もあって気持ちが重く、費用の見通しも立たず、つい先延ばしにしがちです。「安く手放して後悔しないか」という迷いも自然な感情です。
ただ、事実として、空き家は住んでいなくても管理の手間が続きます。
福島市の市予測でも空き家は増える見通しで、補助金には先着や期限があります。
査定を取ること自体は無料で、売ると決めなくても構いません。仲介と買取、両方の数字を見たうえで、納得できる方を選べば大丈夫です。
最初の一歩は、今の家にどんな選択肢があるかを知ることです。
